♯1 「森の中の少女」
(オリジナル)

 細いけもの道をたどった先にある、森の中の小さな空き地。ここは彼女のお気に入りの場所のようだ。
 草むらに隠れて待つこと数時間、彼女は木々のすき間からやって来た。大きな切り株に腰を下ろし、細い木の枝を片手にどことはなく宙を見つめる。

 ガサッ…

 しまった!
 小さな小さな物音だというのに、その耳は正確に方向を捉え、こちらに驚愕の表情を向ける。
 それも一瞬のこと。
 次の瞬間には、彼女の姿は森の中に消えていた。

 今日も失敗のようである。
 相変わらず、その生態は謎に包まれたままだ。

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「森の中の少女」