♯141 真夜中の襲撃
(オリジナル 雅)

 カランカランカラン……

(―――敵襲!?)
 真夜中の社に警鐘が響き渡ると、すぐさま私は布団から起き上がりました。同時に、頭の中にお姉さまの念話が聴こえて来ます。
(取り逃がしました。雅、そちらに二人。対処願います)
(……承知致しました。お姉さま)
 私は枕元に置かれていた太刀を掴むと、襖を開けて廊下へ出ます。すぐに、人相の悪い男二人と相対しました。
「うひょ、可愛い娘が出てきたぜぇ……殺してやろうか?犯してやろうか!?」
「ひゃはは!そんな長ぇ獲物、振り回したって当たりゃしねぇよ!」
 男達の挑発を無視して、私は太刀を抜き放ち、鞘を投げ捨てました。その途端――刀が私の身体を支配します。
「はぁぁぁぁぁっっ!!」
 ズバンッッ!!!……ドン……ゴロゴロ…………
 床を踏み抜かんばかりの強烈な踏み込みと共に、上段からの神速の一撃を叩きつけ、男の首を撥ね飛ばします。
「ひぃぃぃぃぃぃっ!ば、化け物!」
 逃げようとするもう一人の男の背中を容赦なく斬りつけて息の根を止めると、徐々に目の前が暗くなっていきます。
(もう……限界……です……)
 私はその場に昏倒してしまったのでした……。

神器『孤月刀』
 古代の剣客の怨念が神化され宿っている、血に飢えた呪われた刀。封印の鞘から抜かれると使用者の身体を乗っ取り、周囲を見境無く斬殺・破壊する。しかし、肉体に凄まじい負荷が掛かるため、瞬く間に活動不能となってしまう。

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血まみれ雅ちゃん