♯85 短剣を向ける魔法使い (オリジナル)
塔の最上階。「お宝」があるはずのその部屋には先客がいた。
ユーナが扉を開けた途端に、盗賊たちが襲いかかってきたのだ!
盗賊の雑な一撃を素早い身のこなしでかわすと、彼女は腰の短剣を抜いた。
呪文を唱えている余裕は無いし、サキは下の階でモンスターを引き付けているのだ。
盗賊「やるのかい?お嬢ちゃん」
ユーナ「こ…この短剣には毒が塗ってあるの!かすっただけであの世行きなんだからっ!」
盗賊は胡散臭そうに短剣の刀身を凝視するが、彼女の言葉が本当かどうかは分からなかった。
仕方がないので少し間合いをあけ、横に移動しながら隙をうかがう。
(うう……サキちゃんに教えてもらったハッタリ、盗賊さんに効くかなぁ……?)
ユーナは短剣を構えてみたものの、思い切り腰が引けている。
サキが来てくれるまでの数分間をしのぐための、彼女の一人きりの戦いが始まった。
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