♯9 「小さな街の喫茶店にて」 (北街 静夏 様よりのいただきもの)
カランカラン……
「いらっしゃいませ〜」
軽快なドアベルの音とともに、可愛らしい声が出迎える。
ここは“Tea House 紫紅茶館”。
アイデアが煮詰まったときに、よく気分転換に訪れる場所だ。
「え…えと、ご注文をお伺いいたします」
いつもの席に腰を下ろすと、ここの最年少のウェイトレス、夏美ちゃんが注文を取りにきた。
「いつものでお願い」
「かしこまりました〜」
伝票に“いつもの”と書きつけ、店長に「いちばん端のテーブルのひと、いつもので〜」と告げる後姿に苦笑しながら、僕は真っ白なノートを開いた。
そうだな、次の新作は……。
title&text: ひひらいだー
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