♯96 痛みをこらえてうずくまる (オリジナル)
森の中を進んでいると、不意に開けた場所に出た。
……少し油断していたのかもしれない。
踏み込んだ途端に飛んできた小さな矢を、ユーナはかわすことができなかった。
矢は彼女の脇腹をかすめて飛んでいった。
ユーナ「―――ッ!」
傷は致命傷ではなかったが、余りの痛みに脇腹を押さえてうずくまってしまう。
流れ出した血は服に染みを作る。
魔力を込めた杖は地面に落ち、転がって行ってしまった。
周囲に魔物がいなかったのは幸いだった。
数分もすれば、彼女は自分で杖を拾って治癒魔法を唱えるか、
もしくは相棒のサキが追いついて、傷の手当をしてくれるだろう。
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