「ふぁ……」
目が覚めたのは真夜中だった。
知らない間に、机に突っ伏して寝てしまったみたい。
目の前には、フタの開いたガラスびんが転がっている。
あの、強烈な出来事は、ただの夢だったのかな……
“夢なんかじゃないですよぅ”
と主張するかのような物が、机の上に置かれてあった。
見慣れない筆跡の置き手紙と、見たことのないペンダント。
手紙には、こう書かれてあった。
「あんまり人間の前に姿を見せちゃダメなので、ルルはもう行きますぅ。とっても気持ちよくて、とっても楽しかったですよ〜☆」
ルルちゃんのえっちな姿を思い出して、ぼくの顔が熱くなってくる。
「亮一君の本当に望んでいること、ルルはちゃんと分かってますぅ。だから、このペンダントを置いて行きますね。これを身につけていれば、友達がたくさんできることまちがいなしですぅ。
ではまた、どこかで会いましょう〜」
ルル
(見透かされちゃってたんだぁ……)
まじまじとペンダントを見つめていると、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間にチャイムを鳴らすのは、お母さんしかいない。また、家の鍵を忘れていったんだな〜。
「仕方ないなぁ、もぉ」
ぼくはペンダントを首から下げると、イスから立ち上がった。
そのとき、
ふわりとやわらかな風が、首もとをなでていったような、そんな気がした。
おしまい
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