昔々、幻想郷のある森の中に、悪戯好きの三人の妖精が住んでいました。
名前は“サニーミルク”“ルナチャイルド”“スターサファイア”です。
さぁ、今日はどんな悪戯をやらかすのでしょうか?
三妖精の悪戯譚の幕開けです!
とある朝、スターサファイアが目を覚ますと、他の二人の姿が見えません。
階下に下りてみると、テーブルの上に二つの書き置きがありました。
“山にシヴァ狩りに行ってくる! サニー”
“川に桃拾いに行ってくる ルナ”
スター「……ふたりとも朝早くから、一体どこに何をしに行ってるのかしら?」
書置きは大雑把すぎて、スターは首を捻ります。
詳しい場所は何も書かれていないのですが、スターのレーダー能力で二人がどこにいるかはすぐに分かりました。
とりあえず、スターはサニーのところに行くことにしました。
スターがサニーの所に到着すると、サニーは剣と盾で武装して巨大な“かかし”と対峙していましたwww。
スター「……サニー、何やってるのよ?」
サニー「いや、チルノが山の中でバケモノを見たっていうから、ちょっと見たいなと思って……」
スター「……思い切り見間違えじゃないの。その剣と盾は?」
サニー「襲い掛かられたら大変だから、倉庫から引っ張り出してきたの」
スター「はぁ……大きなかかしねぇ……」
サニー「大きすぎて邪魔になって捨てられたのかなぁ」
スター「で、どうするの、コレ?」
サニー「そうだ!これで人間をおどかしてやろう!私たちが姿を隠して動かせば、きっとびっくりするよ!」
スター「いいアイデアね!」
というわけで、山の中で見つけたかかしを使って、人間をおどかすことにしました。
とりあえず山の中からかかしを運び出すことにした二人は、首のところにロープを結んで空から行くことにしました。
しかし、見た目に反してかかしはすごく重かったようです。
サニー「うぅ〜〜〜ん……重いぃぃぃ……スター、ちゃんと持ってる!?」
スター「もちろん、持ってるわよ♪」
サニー「かかしって、こんなに重いものだっけ?」
スター「ヘビー級かかしね(意味不明)」
サニーが光の屈折を操って姿を消してはいたのですが、かかしには気が回らなかったようです。
その日、幻想郷の空をふよふよ飛行する不気味なかかしが目撃されたそうです。
スターがあまり力を入れていなかったので、サニーのロープに荷重が集中してしまったようです。
その結果……
サニー「わわわっ!ロ、ロープが切れそう!!」
スター「あらあら」
ぷちん
サニー「うわ切れちゃった!スター、がんばって持ってて!!」
スター「何て重いの!耐えられない!(嘘」
……スターはやけにあっさりと手を離してしまったのでした。
ヒュー………
ドスン!!
かかしが落ちたのは、湖のそばにある古風なお屋敷の庭でした。
そこは紅魔館と呼ばれていて、吸血鬼のお嬢様とその他大勢が住んでいました。
レミィ「……?…今何か音がしなかった?」
パチェ「したわね」
レミィ「ちょっと見てくる」
パチェ「お願いね」
レミィが紅魔館の庭に出てみると、何か変なものが地面に刺さっていました。
レミィ「????何これ??……危険物かもしれないし、とりあえず焼いておこうか」
ゴォッ!
ジュッ……
レミィの炎で、かかしは一瞬にして炭になってしまいました。
サニー「せっかくのかかしが!!」
スター「まぁまぁ♪」
サニー「…スター、あんまり残念そうじゃないね」
スター「……あら!何てこと!」
サニー「……まぁいいけどね。仕方が無い、帰ろうか」
という訳で、二人はあまり落ち込まずに家に帰ることにしたのでした。
スター&サニー「だだいま〜……」
悪戯が失敗に終わったので、ちょっと気落ちしていた二人を待っていたのは、上機嫌のルナとテーブルの上の大きな桃でした。
ルナ「おかえり!どこ行ってたのよ、ずっと待ってたんだから!」
サニー「すごい!大きい!どこで手に入れたのこの桃!」
ルナ「川で拾ったのよ」
スター「おいしそう!」
ルナ「日持ちするものでもないし、早速食べようか」
スター&サニー「うん!!」
こうして三人はルナが拾ってきた桃をたくさん食べて、そのままお昼寝したのでした。
サニーとスターは、かかしのことはすっかり忘れてしまいました。
…そうそう、桃がとてもおいしかったのは言うまでもありませんね。
おしまい