玄関

 高田真一は、俺の数少ない友人の一人だ。
 “魔術研究会”という怪しいサークルに所属する重度のオカルトマニアで、半年ほど前「俺は!!魔術を極めるのだ!!!」と言い残し、休学してイギリスに渡ってしまい、それきり音信不通だった。
 送り主がヤツなら、中身は絶対にロクな物じゃない。そう分かっていながらも…………好奇心に負けて、俺は包みを解いてしまったのだ。
 現れたのは、釘を打ち込んで厳重に封をした木箱だった。ダンボール箱とあわせて、二重に梱包されていたことになる。
 開けてはいけない…そんな禍々しい気配が滲み出ているような気がした。
 ええい、毒を食らわば皿までだ!
 マイナスドライバーで無理やり木箱をこじ開けると……。

前のページへ 次のページへ
本を閉じる