玄関

「木村孝之さんですね」
「はい、そうですけど……」
「お荷物が届いています。こちらにサインをお願いします」
 宅配業者の人は、無愛想にそう言って伝票を差し出した。
(はぁ?イギリスから??何かの間違いじゃないのか??外国には知り合いも親戚もいねーぞ。)
 俺はその伝票を見て、首をひねった。
 まぁ、とりあえずいったん受け取っておいて、間違いだと分かったら返すことにしよう。俺は受け取りにサインをして返す。
「こちらがお荷物です。ありがとうございました」
 渡されたのは、小脇に抱えられるほどの、比較的小さなダンボール箱だった。
 大きさは小さいが、意外と重い。
「それでは、失礼します」
 渡すものを渡すと、宅配業者の人はさっさと帰っていった。
 こんな怪しい小包み、おいそれと開けるわけにはいかない。まず、送り主を確認しよう。
「SHINICH TAKADA…タカダ シンイチ…高田か!」

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