「うわああああっ!」
俺は驚きのあまり、思わず叫び声を上げてしまう。
見たことのない少女が、服を着たまま浴槽につかっていたのだった。
「…………」
俺が大きな声を上げたにもかかわらず、少女は無言でこちらを見つめてくる。
彼女の姿を観察していると、記憶が徐々に戻ってきた。多少の着衣の乱れこそあるが、昼間に投入した人形にそっくりだったのだ。
あの小さな人形が、本当に人間と同じぐらいまで大きくなったというのか!?
俺は、思わず彼女の名前を口にしていた。
「エ、エトワール……なのか?」
彼女は無口のまま、こちらを見つめて小首をかしげる。反応アリ。起動した…ということ……か……。
「え、えと……」
それからのことを何も考えていなかったので、一瞬どうしていいか分からなくなる。とにかく、水につかったまま放置しておくわけにはいかないので、浴槽から引き上げることにした。水の中に手を突っ込んで、彼女の手を取る。
(……柔らかい……)
その感触は人形の硬質なものではなく、人間の少女そのものだった。
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