ミシェは優雅に一礼すると、部屋を出て行ってしまった。
 後には、何とも言えない淫靡な香りが残された。
「うう…やみつきになっちゃいそうだよぅ……」
 部屋の中で一人、僕は頭を抱えてしまう。
(あああ、お礼、言い忘れちゃった…。明日…ちゃんと…言わなきゃ…)
 そんなことを考えながら、僕はベッドに倒れこみ、眠りに落ちていった。


 そう、確かにこの夜、僕は底なしの泥沼に片足を突っ込んでしまったんだ………。

おしまい

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