……それは、昨日のことだった。
僕は、メイドの一人“ミシェ”と二人で、のんびりと午後のティータイムを楽しんでいた。
話していたのはとりとめもないことばかりで、どうしてそんな会話の流れになったのかは覚えてないのだけど……。
「……あらあら、じゃあ、お部屋にえっちな本とか写真とかも隠してないんですか?」
「ないよ!3人が隅から隅まで掃除するんだもん、隠せる場所なんてないよ」
「で、毎晩性欲を持て余してもんもんとしている、と」
僕は口に含んだ紅茶を吹き出しそうになってしまった。
ミシェはこういう恥ずかしいセリフをためらわずにさらっと口にする。慣れてはきたけども、ちょっとびっくりしてしまう。
「いや、別にそんな、毎晩ってわけじゃないけど……」
「私でよければ、何とかしてあげましょうか?」
「な、何とか……って?」
「なんとか、です」
ミシェはそう言ってくすくすと笑った。
その妖艶な笑みに導かれるみたいに、僕の口からは淀みなく次のセリフがこぼれ落ちた。
「じゃあ、お願いしていいかな」
「はい、では明日の夜、お部屋で待っていてください」
「うん、分かった」
とその場であっさりと決まってしまった。
でも、翌日になり、夜が近づくにつれてだんだん不安になってきた。
期待と後悔がぼくの胸の中をぐるぐると渦巻いている。
(うぅ…どうしてあそこで“うん”って言っちゃったんだろ……それに、何とかするって…何するんだろ?)
こんなことを考えながらも、心臓はドキドキしていた。
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