コンコン……
 ノックの音に一瞬ビクッとしてしまう。
 日付も変わったこんな夜更けに部屋を訪れるのは、約束していたミシェ以外にありえないのだけど、もしかすると他の誰かかもしれない。
 慌てて気を落ち着かせて「はい、どうぞ」と応えると、キィ…という音を立ててゆっくりとドアが開いた。

前のページへ 次のページへ
本を閉じる