・なまえ ひひらいだー ・じゅうしょ 坊っちゃんと温泉の街 ・おてがみ |
“センスがどうだの、親のコネだの、実力だのはどうでもいいのだわ。私は、物を作って人に見せるのが好きなの。
私の作った物を見て、誰かが微妙な気持ちになったり、癒されそうで癒されなかったり、がっかりしたり失笑したり…なんか変なの、と思ってくれる。それが、私の落款。”
(佐藤明機『パラダイスバード』)
“もしこの世界にあるものが現実だけだったら、物語というものが存在しなかったら、わたしたちの人生はあまりにも貧しすぎる……現実を実り多いものにするために、わたしたちは物語を読むんです。”
(三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』)
“うつし世はゆめ よるの夢こそまこと。”
(江戸川乱歩)
“でも世界って元々自由だし。だってそうでしょ?読みきれないほどたくさんの本があって、そこに書かれているどの世界にも行くことができるし、無限に美しいものを探すことだってできる。飽きたら自分で書いたっていい。そして私たちはそれを共有できる。みんなが言う“現実”なんてこの世界の一部でしかないの。”
(つくみず『シメジ シミュレーション』)
藤野もやむ『まいんどりーむ』
能天気で可愛らしい主人公なのに、夢を通して少年少女の心の闇を覗き込むようなお話。このギャップこそが藤野もやむさんの魅力だと思っています。各話の最後できちんと救われるのも素晴らしいです。
夜麻みゆき『トリフィルファンタジア』
細かく設定されたファンタジー世界だけど、やってるのはパン屋さん。のんびりした時間が流れますが、次々と不思議なことが起こって飽きさせません。しれっと主人公たちに命の危険が迫ることも!?独特のコマ割りで、マンガというより絵本に近い雰囲気が好きです。
山田卓司『ベルセゾン』
コンピュータでシミュレートされた世界を旅するお話。目的はその世界の住人の一人を生き返らせることなのですが、「数字の羅列に過ぎない」存在を生き返らせることに意味はあるのでしょうか?色々と考えさせられる内容です。最後の答えにはちょっと感動。AIが進化しつつある今でも難解な、時代を先取りし過ぎた一作です。
山名沢湖『いちご実験室』
“ふわふわショートストーリーズ”と銘打たれているのですが、ふわふわ過ぎてシュールです。ミソラちゃんとハカセくんの会話はズレまくり、展開も唐突で、ついて行くのに必死です。ミソラちゃんの可愛らしさと相まって、甘く不思議な空間は、人生に大切なあらゆるものを忘れさせて脱力させてくれます。
桜井蓮哉『もけけ日記(ダイアリー)』
謎生物「もけけ」との交流(?)を描く4コマまんが。徐々にもけけに日常が侵食されていくのがとにかく笑えます。ていうか、最初の一本から大爆笑で、どんどん引き込まれます。ウザ可愛いもけけの他にも、魅力的なキャラがいっぱいなのです。
佐藤明機『楽園通信社綺談』『ビブリオテーク・リヴ』
雲海にそびえ立つ街「ヘヴン」を舞台にした連作。キャラや世界観も魅力的なのですが、何よりごちゃごちゃと描き込まれたヘヴンが素晴らしく、まさに「色々とありそうな街じゃないか」という感じです。是非一度訪れてみたいのです。