「いってきまーす」
玄関で靴を履くと、僕は振り返って家の中に声を掛けた。
「いってらっしゃい。ミキちゃんにちゃんと勉強教えてあげてね。あと……やさしくしてあげるのよ」
居間から顔を出して、どういう訳かにこにこ笑いながらお母さんが言う。
「分かってるよ〜」
投げやりに返事をして、僕は外に出た。
今日もいい天気だ。広場でサッカーでもやったら気持ちよさそうだけど……今日はこれからアルバイトなのだった。
隣に住む、4歳年下の女の子の家庭教師。時給500円と余り割りは良くないのだけど、行くと必ずちょっとしたオマケが付いてくる。
それが実は、かなり楽しみなのだった。
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