「はぁ………」
何度目か分からないためいきをついた。
机の上をふと見てみると、空っぽの小さなガラスびんが転がっていた。
ずっと前に、遠くにすんでいるおじいちゃんからもらったんだ。
“いいかい、亮一、この中にはイタズラ好きの妖精が閉じ込められておるんじゃ。姿形は見えんがのぉ。開けるとひどいことになってしまうから、決して開けてはいかんぞい”
そう言ったおじいちゃんの目は真剣で、とても冗談を言っているようには見えなかった。
そんなものをどうしてぼくに預けたのかは、今でも分からないんだけど。でも、ぼくはおじいちゃんの言葉を信じて、今日までこのびんのフタを開けることはなかったんだ。
でも……今日は、イタズラ好きの妖精でも、そばにいて欲しかった。
ぼくはガラスびんを手に取ると、迷うことなくフタを開けた
ぽん…………
……軽い音がしただけで、中から何かが出てきた様子はぜんぜんなかった。
「……まぁ、そうだよな〜」
おじいちゃんの子供だまし…そう考えるのが普通だよね。
もう特別な物でもなんでもなくなったガラスびんを放り投げようとしたそのとき…トントン……と肩をたたかれた。
「わあっ!!」
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